【月夜行路】パスワードが示す父とルナの「止まった時間」を考察

ドラマ考察

こんにちは、sukokoです。

ドラマ「月夜行路」で、物語の大きな軸になっているルナと父親の関係。
その象徴として描かれているのが、父親のパソコンの「パスワード」です。

「どうせパスワードは分からない」

そう言いながらも、父親はパソコンを完全には処分しなかった。

そして母親は、「どうしてもルナに解いてほしい」とパソコンを託します。

ただの謎解きのようにも見えるこの展開ですが、見ているうちに感じるのは、これは「親子の距離」そのものを描いているのではないかということでした。

今回は、「月夜行路」のパスワードが何を意味しているのかを考察していきます。

「どうせ分からない」に隠れているもの

ルナの父親は、パソコンについて「処分してほしい」とルナに母親に渡します。

しかし、本当に誰にも見られたくないのなら、壊すこともできたはず。
それなのに、パスワードを残したままにしている。

しかも母親は、「ルナじゃなきゃダメ」と言う。

この時点で、すでに矛盾があります。

父親は「拒絶」しているように見えて、完全には閉ざしていない。
むしろ、「分かってほしい」という感情すら見えてくる気がしました。

だからこそ、「どうせ分からない」という言葉が切ない。

あれは怒りというより、「諦め」に近い言葉なのかもしれません。

パスワードは「父親の本音」なのかもしれない

ルナにとって父親は、「人生の宿題」

医大を辞め、家を出て、戸籍も変えた。
それでも父親との問題だけは、終わっていません。

そして印象的だったのが、幼い頃の回想シーンです。
子どもの頃のルナは、父親と一緒に謎解きをしていた。
プレゼント探しのように、答えを探す時間があった。
しかし今、ルナが向き合っている「謎」は、プレゼントではなく父親自身です。

何を考えていたのか。 なぜ自分を否定したのか。

パスワードを解くという行為そのものが、「父親を理解しようとすること」に重なって見えます。

「吾輩は猫である」が意味するもの

パソコンを開いた時に表示される「吾輩は猫である」の表紙も印象的でした。

夏目漱石や猫の命日、旧邸跡など、ルナたちはそこから必死に答えを探します。
でも、何度入力しても開かない。

その姿を見ていると、このドラマは「正解を当てる物語」ではないようにも感じます。

本当に大事なのは、パスワードそのものではなく、「向き合うこと」なのではないでしょうか。

ルナはずっと父親から逃げてきた。
でも同時に、父親との時間の中に閉じ込められ続けてもいた。

だから涼子が言った、

「ママの時間も止まっているように見える」

という言葉が、とても重く響きました。

父親が否定したのは「夢」だった

第6話で語られた、「娘の人生を否定してしまった父親」のエピソード。

これはルナの父親とも重なる場面だったように思います。

さらにルナの回想では、書き上げた小説の束を父親に床へ落とされるシーンもありました。

あの瞬間、父親はルナの「作品」だけではなく、「生き方」そのものを否定してしまったのかもしれません。
だからこそルナは、家に戻れない。

「出ていった息子が娘になって戻ってきたら、ますます体調悪くするでしょ」

という言葉にも、深い傷が残っています。

それでも母親は、「あなたが開かないと意味がない」と言う。

つまりこのパスワードは、父親の秘密というより、「止まってしまった親子関係」そのものなのではないでしょうか。

パスワードの先にあるもの

第9話では、父親が倒れたという連絡が入ります。
それでも「行けるわけないでしょ」と立ち止まるルナ。

そんなルナに、涼子は言いました。

「ママがどうしたいかじゃないの?」

この言葉で、物語は「父親の真意探し」から、「ルナ自身の選択」へ変わっていったように感じました。

パスワードが開いた先にあるものが、希望なのか絶望なのかはまだ分かりません。

でも、「月夜行路」が描いているのは、完璧な和解ではなく、「分かり合えなかった人と、それでも向き合おうとすること」なのかもしれません。

最終回で、ルナが何を見つけるのか気になります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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